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NVCの鍵となる前提と意図

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あなたがNVCを誰かに伝えるとき、ここに書かれた考え方を頭の片隅に置いておくことを積極的に検討していただきたくて、この文書をご紹介します。

NVCはシンプルな手法に落とし込まれているので、すぐに使い始められ、またヒーリング効果なども期待されている部分はありますが、もしNVCが「気持ちのよくなるクスリ」として使われるのであれば、NVCの意図が理解されていないのかもしれません。

そう考えると、NVCを使い始めようとするときに、まず「NVCの前提となる考え方」を知っていただくことは非常に重要なことなのだと思います。

一般の講座などでは時間の関係などでなかなか触れることが難しいかもしれません。だからこそここに、BayNVCのInbal Kashtan と Miki Kashtanがまとめた「NVCの鍵となる前提と意図」という文章を紹介したいと思います。

一見、賛同し難かったり、NVCをやるのにこれらを理解する必要があるのかと疑問を持ったりする文章があるかもしれません。

できればそこで「ダメだ」「思ってるのとちがう」等と離れてしまわずに、その意図するものについて考えたり、周囲の人たちと話し合う(ケチをつけたり、アラ探しでもかまいません)などしていただきたいのです。

さらにできれば、NVCを伝えている人や語る人にそのケチやアラを投げかけてみてください。あなたの無垢な好奇心が、すでにNVCを知っていると思っている人の学びをも深めることを願います。

Key Assumptions and Intentions of NVC

日本語訳

I. NVC を実際に使うときの土台となる前提

個人、また、集合的な人間の本質は、これまで進化してきており、これからも進化し続けると私たちは考えます。この考えは、何が実現可能かという私たちの期待や、私たちがつくりだす社会の仕組み、そして、自分自身との、または他の人々との関わり方をかたちづくります。ですから、私たちがつくる前提は、私たちが生きる人生、ともにつくりだす世界に大きな影響を与えます。

NVC の実践は、以下の主な前提に基づいています。これは多くの伝統(文化、社会)の中に見られるもので、NVC は、私たちがこの前提を実践するとき具体的で強力な道具となります。私たちがこの前提を基に生きていくと、自己につながること、他者とつながることがより可能、かつ、容易になるでしょう。

  1. ニーズはすべての人類に共通する:私たちは全員、共通するニーズを持っています。ただ、そのニーズを満たそうとする手段は違うかもしれません。対立は、ニーズのレベルではなく手段のレベルで起こります。
  2. すべての行為はニーズを満たそうとする試みである:それを意識するしないにかかわらず私たちのどんな行為の根底にも、ニーズを満たそうとする欲求があります。私たちが暴力や暴力以外の方法で、自分あるいは相手のニーズを阻止する行為に訴えるのは、ニーズを満たすためのより効果的な手段を見つけられないからです。
  3. 感情は、満たされたあるいは満たされないニーズを指し示す:他者によって感情が刺激されるかもしれませんが、それは感情の原因ではありません。感情は、ある状況でニーズが満たされているあるいは満たされていないという、自分の経験から直接立ち上がるのです。ニーズが満たされているかそうでないかという私たちの判定は、ほぼ例外なく、思い込みや解釈を含んでいます。ニーズが満たされると、幸せ、満足、平安などを感じます。ニーズが満たされないと、悲しみ、恐れ、抑うつなどを感じます。
  4. 自分自身とつながることが平和への一番の近道:ニーズが満たされているかどうかに依らず、私達は平和であることができます。内なる平和のためには、たとえ多くのニーズが満たされないままでも、「自分につながる」というニーズが満たされていれば、じゅうぶんなこともあるでしょう。
  5. 選択は内なるもの:どんな状況であろうと、ニーズへの自覚に基づいた意識的な選択をすることにより、私達は自律のニーズを満たすことができます。
  6. 全人類に思いやりが備わっている:思いやりに至る道をいつも知っているとは限りませんが、私たちには生まれながらに思いやりが備わっています。自主・自律に対する「思いやり」と「尊重」が満たされていると、自分自身や他者に対して「思いやり」をより向けやすくなります。思いやりを育むことが、平和的にニーズを満たす能力に直接貢献します。
  7. 人類は与えることが喜びである:もともと私たち人類は、自分や相手のニーズとつながっていれば、貢献を喜びとし、与えることを自分の選択からくるものとして経験することができます。
  8. 人類は共生を通してニーズを満たす:私たちは多くのニーズを他者との関わり合いを通して、または自然とのつながりのなかで満たしますが、いくつかのニーズは主に自分自身との関係性の質を通して満たされ、さらにいくつかは人生のスピリチュアルな次元と関わっています。他の人のニーズが満たされないとき、自分のいくつかのニーズもまた、満たされないことがあるでしょう。
  9. 世界はニーズを満たすのにじゅうぶんな資源を差し出す:人類が一人ひとりのニーズを大切にすることに本気になり、つながりを育て、資源を創造的な方法で分かち合う技術を取り戻すとき、私たちは想像力の危機の時代を克服し、一人ひとりの基本的ニーズに応える方法を見つけます。
  10. 人は変わる:私たちのニーズおよびそれを満たそうとする手段、この両方は刻々と変化します。今この瞬間、自分自身をあるいはお互いを、それぞれとしてまたは人の集合として「こういうものだ」と見定めたとしても、すべての人は成長し変化する可能性を持っています。

*この日本語訳は、安納献、小笠原春野のかつての翻訳を参考にしつつ、2019年4月にBayNVCの最新版を栗山のぞみ、長田誠司、西東万里が翻訳したものです。

II.  NVC を実際に使うときの鍵となる意図

私たちの意図を明確にすることは、私たちが価値観に沿って生き、行動するのに役立ちます。私たちは、NVCを利用するにあたり、次のような意図を持ちます。なぜなら、NVCは私たちの生活を豊かにし、すべての人々のニーズに平和的に応える世界に貢献するものだと考えているからです。

A. Open-Hearted Living 心を開いた生き方

  1. 自分への思いやり: 私たちはあらゆる自己非難、自己評価・判断、自分への強要を解き放ち、すべての行動を通じて私たちが満たそうとしているニーズに対し、思いやりと理解をもって臨むことを目指します。
  2. 心から表現する: 自分自身を表現するとき、私たちは心から語り、自分の感情とニーズを表現し、互いの構造的・文化的背景を考慮した実現可能で具体的なリクエストをすることを目指します。
  3. 思いやりをもって受け取る: 他の人に耳を傾けるときは、その人の社会的立場や表現方法にかかわらず、たとえその表現や行動が私たちのニーズを満たさなくとも(例:評価・判断、強要、軽視、責任のがれ、または身体的暴力など)、その言動の背後にある感情とニーズを聞くことを目指します。
  4. つながりを優先する: たとえ困難な状況にあっても、私たちは解決策を探る前に、皆のニーズに心を開いてつながることに注力しようとします。それは、皆にとって有効な解決策にたどり着く可能性を高めるためです。
  5. “正しい”、“間違っている”を超えて: 私たちは、“正しい”、“間違っている”という評価を下す習慣(道徳的判断)を変容することを目指し、かつ、人間のニーズが満たされるかどうか(ニーズに基づく判断)に焦点をあてるようにします。

B. Choice, Responsibility, Peace 選択、責任、平和

  1. 自分の感情に責任を持つ: 私たちは、他の人は誰も自分に何かを感じさせる力はないことを認識しながら、自分自身の感情からニーズにつながることを目指します。この認識は、他の人が変わるのを待つのではなく、自分たちが行動をとる力となります 。
  2. 自分の行動に責任を持つ: 私たちは瞬間ごとに自分の選択について認識し、自分の信じる限り他の人への負担が少なく自分のニーズを満たす行動をとることを目指します。また、恐れ、罪悪感、恥、報酬を求めるため、あるいは義務感、「〜ねばならぬ」から、またはそれに値するからといった動機で行動することを避けるよう努めます。
  3. 満たされないニーズとともに平和に生きる: 満たされないニーズを経験するとき、私たちはニーズを満たすことに固執するよりも、感情をじゅうぶんに味わう場所を心につくり、感情を抱きしめ、そのニーズにつながることを目指します。
  4. ニーズを満たす能力を育てる: 自然および他者の負担ができだけ小さく、より多くの人々のニーズに応える、より多様性に富んだ手段やつながりに貢献するために、私たちは、自分たちの内的資源、とくにNVCスキルを発達させることを志します。
  5. いま現在に留まる能力を育てる: 私たちは、その瞬間ごとの私たち自身と他者のニーズにつながる能力を伸ばすことを目指します。それは、私たちや他の人が誰 であるという静的なストーリーを通してではなく、いま現在の刺激に応答するためです。

C. Sharing Power (Partnership) 力を分け合う(パートナーシップ)

  1. 皆のニーズをフルに大切にする: 私たちは強要ではなく、リクエストすることを心がけます。こうすることで、他の人がその人なりの方法でニーズを満すことに オープンでいられます。私たちのリクエストに「いいえ」と返されたとき、あるいは私たちが他の人のリクエストに「いいえ」と言うとき、私たちは自分自身のだけでなく、相手のだけでもなく、皆のニーズを大切にするための解決策に向かってともに進むことを目指しています。私たちおよび他の人が「いいえ」と言ったり聞いたりする能力に、持てる力の違いがいかに影響するかを理解しつつ、そのようにします。
  2. ニーズをベースに資源を分かち合う能力を育てる: より多くの人々と自然環境のより多くのニーズを満たすゴールのために、私たちは、ニーズを土台にした手段で世界の資源を分け合うことを目指し、かつ実践します。
  3. 力を防御的に使う: 力を使うときには、最小限の力を可能な限りの愛を込め、教育するためや罰を与えるため、他の人の合意を得ずに自分たちの欲求を押し通すためではなく、用います。力を使う状況とは、対話が失敗したと認め、すぐさま行われそうな、もしくはすでに行われている行為から身の安全を守るときだけです。そのようにして状況に対処した後は、できるだけ早く再び対話を紡ぐ努力に戻ることを目指します。

 

2017 Leadership Program: Reference Materials © 2014 Inbal Kashtan and Miki Kashtan • nvc@baynvc.org • www.baynvc.org • 510‐433‐0700 Please contact BayNVC before passing on to anyone. If permission is granted, please include copyright and contact information.
*上記資料を元に、栗山のぞみが仮訳しました(2019年6月18日現在)。

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