* カードは2種類
裏の色が橙(七宝)または白(網目)が感情(Feeling)、緑(七宝)または紺(網目)がニーズ(Need)のカードです。
* ルールはあってないようなもの
以下のいずれも厳密に守る必要はなく、その場の居心地のよさや流れを優先してください。目的は意図を体感することです。
目次
* 共感(エンパシー)ポーカー *
意図
感情とニーズの言葉を口にすることに慣れる/共感の基本形を身につける/共感する・される体験をする
使用カード
感情およびニーズのカード(各78枚)
人数
1グループあたり3〜5人(1〜2人でも可能)
所要時間
1人あたり約15分(標準)
準備
- 感情のカードとニーズのカードを分けておき、それぞれグループの人数から話者1人を除いた数の束に分けておく。
- グループ全員で丸く円になって座る。
- 話し手(順番)を決める。
あそびかた
- 話し手(=Aさんとします)は、心の動いた/心の揺れた体験を話す。
- 感情のカードを聞き手に配る。
- 聞き手は、話し手の感情を推測してカードを選び、「Aさんは[感情カードの語]な気持ちでしたか?」と訊きながら、感情カードを一枚ずつ順に話し手の前に置いていく。話し手は 「はい/うーん?」程度の短い反応で応じる(語らず否定せず)。
- 話し手がこれだと思う感情が3〜4つ出たら、(3)を終了する。話し手は自分の感情に沿うカードを3〜4枚選び出して前に並べ、じっくり味わう(1分ほど特別に時間をとって、その言葉が自分のなかで響いているようすを身体的に受け取ります)。
- ニーズのカードを聞き手に配る。
- 聞き手は、「Aさんが[感情カードの語]の気持ちになったのは、[ニーズカードの語]を大事にしていたからですか?」と訊きながら、ニーズのカードを選ばれた感情カードの前に置いていく。話し手は相手が訊いてくれたニーズの語を味わいながら(お腹のあたりに手をあてるなど身体の感覚の変化を感じとろうとすることが助けになります)、「はい/うーん?」で応じる(語らずに、感じることに集中してください)。
- 話し手がじゅうぶん聞かれた感じがしたら(6)を終了し、話し手は[感情]と[ニーズ]のペアを作って並べ、眺めてじっくり味わう。
- 話し手が話したければ、1〜3分時間をとって、このプロセスで感じたこと、受け取ったことなどについて話す。聞き手は口を挟まず、共感的に(感情とニーズに注目しながら)聞く。
◉ゲームのコツ◉
時間配分
人数が多いとき・初心者が多いときは、15秒程度/または1〜2文で話すことも試してみてください。練習として、「共感」したい「瞬間」をできるだけ特定したいためです。少人数でじっくり話を聞き合いたいときは、時間的な制約をかける必要はありません。話の流れに寄り添い、話し手がその話全体を通じて伝えたいことに共感することをめざしてください。
話題
自分の反応が記憶の隅に残っているような、直近で心が動いた体験を話してみましょう。ちょっとしたエピソードが良い題材になります。自分でも「なぜ気になったんだろう?」と思うくらいに些細に見える話題をとりあげると、思わぬ発見につながることがあります。
話し方
その体験の瞬間の感覚をよみがえらせながら話してみましょう。話したくないが共感してほしい、というときは、黙って座り続けても、語らずに動き回ってもいいです。
聞き方
話し手の表情や声のトーン、身体のようすなど、言語以外の表現に、自分の持てる注意力の大半を向けます。話の内容・意味を漏らさず聞き取ろうとがんばる必要はありません。
先入観やレッテル貼りからできるだけ離れ、評価や判断をできるだけ手放して、話し手の気持ち(やその奥にある、大切なこと)をただ聞くことに集中します。
話の途中での反応は相づちの範囲内にとどめ口(意見・感想)を挟まないようにしましょう。
カードを出すときの心得
*主役は話し手
話し手の内側で起こっていることを尊重しましょう。自分の意見やアドバイスを言いたくなったら、口に出さずに自分の内側で起こっている感情やニーズを推測しましょう。
*診断、分析、取調べ等にならないように
追求や暴露が目的ではありません。話し手が自分のニーズにつながること、聞き手はそれを手伝うことが目的です。純粋な好奇心で「◯◯が大事でしたか?」と疑問形で問いかけて。
*当てにいかない
相手の気持ちに寄り添うことは贈り物をすることと同じ、お互いの喜びです。ハズレも、本人が「そうかな? 違うかも?」と自分をチェックするきっかけになる、素敵な贈り物です。また、最初は違うと思っても、あとで「!」となることもあるので、ハズレだからとカードを排除しないようにしましょう。
*論理性より直感を大切に
相手は自分とは違う人間、自分の想像を超える存在です。自分にはないと思うカードも、ふと目についたら思いきって出してみましょう。思わぬ「当たり」はお互いの気づきを引き出します。
*カードは気楽に出そう
選ぶときは時間をかけず、無責任と見えるほど気楽に出すことを心がけてください。話し手に「聞き手に無理をさせていないか」と気遣わせないことが大きな贈り物になります。
カードを受け取るときの心得
*問いかけに真摯に向き合う
出されるカードは「あなたの中にこんな気持ち/大切なことがありますか?」という問いかけです。自分の内側に問い合わせてみましょう。些細なことと見過ごしていたことが、あなたの大切にしているものと響き合っているかもしれません。
*「味わう」ことの重要性
もらったカードの中からピンとくる語を選んだら、それが自分にとってどんな風に大切かを感じ、味わってみてください。身体感覚の変化、浮かんできた色や質感のイメージなど、自分のさまざまな反応は、それが大切だったからこそ生まれたのです。また、語を「味わう」とは全身で感じ尽くすこと。全員で話し手の選んだ語を味わうことは、「相手の靴を履く」身体的な共感体験になり得ます。
* クイックパニックポーカー Don’t think! Feel.*
直感勝負の共感ポーカー応用編!
- 感情のカードをテーブルや床にばらまく。
- 聞き手一人がタイマーで1分計る。話し手が話すのを聞きながら、聞き手は感情カードを直感的に拾いあげ話し手に渡す。話し手はそれを「プレゼント」としてただ受け取る。
- 話し手は1分で話を止め、ピンときた感情を1つ選んで、全員で1分間味わう。
- 聞き手は感情の根っこにあると感じたニーズのカードを、前の人が出したら間髪入れずに出していく。2分間で止める。
- 話し手はピンときたニーズを1つ選んで、全員で1分間味わい、思いのまま体を動かす。
次々とカードを出すには、話し手も聞き手も「考えずに感じる」ことに集中する必要があります。身体性からニーズにつながる感覚を受け入れる練習であり、思考に邪魔させない荒療治でもあります。自分への信頼を養い、執着を手放す体験となるかもしれません。また他者の感情やニーズを共に味わうのは「慈悲」の体感的な理解につながり、(5)で体を動かすのは今ここのニーズを大事にするダイレクトな実践。楽しんで!
* ニーズ連想 *
意図
ニーズの語に慣れる/ニーズが満たされる感覚を体験する/自分の内側にあるニーズの豊かさ・深さや広さを見出す
使用カード
ニーズのカード
人数
2人以上(1人でも可能)
所要時間
一枚につき、5分〜1時間(双方の合意で決定)
準備
・すべてのカードを伏せておく。
・2人組(ペア)を作り、話す順番と話す時間を決める。
あそびかた
- 話し手は、伏せたニーズのカードから一枚を選ぶ。
- 選んだカードの表を見て、書かれたニーズの語を味わい、そのニーズが満たされたらどんな風だろうと感じることを、思いつくままに話す。聞き手は話し手の表情を見守りながら、聞くことに徹する。反応は相づちの範囲内にとどめ、口(意見・感想)を挟まないようにする。
- 時間がきたら話すのをやめ、話し終えての感想を短く述べて、交代する。
- (1)〜(3)を互いに繰り返す。
* ジェスチャー・ゲーム *
意図
感情表現の豊かさに触れる/人によって表現が異なることを理解し、多様性を受け入れる
使用カード
感情のカード
人数
2人以上(人数が多いとよりおもしろい)
所要時間
1人あたり5〜15分(人数による)
準備
・すべてのカードを伏せておく。
・全員の順番を決める。
・1番めの人は皆がよく見えるような位置に立ち/座り、2番め以降の人はその前に、または囲むように、順に列にならぶ。
あそびかた
- 1番の人が、伏せた感情のカードから一枚を選び、カードの字を自分は見ず、皆には見えるように額に当てる。
- 2番以降の人は、ひとりずつ1番の人の前で、カードに書かれた感情が自分にあるときどんな反応やふるまいをするか、ジェスチャーで表現する。
- 1番の人はそれを見て、自分が何の感情のカードを持っているかを当てる。
- 当たったら、2番めの人に交代し、自分は列の最後につく。
- 一巡しても当てられなかったらカードを見て、自分ならどんな反応やふるまいをするかを披露し、2番めの人に交代する。
- (1)〜(5)を順に交代して繰り返す。
* ニーズをさがせ *
意図
手段・戦略とニーズを区別することに慣れる/ニーズを満たす方法・手段の豊かさ・多様さに触れる
使用カード
ニーズのカード
人数
2人以上(人数が多いとよりおもしろい)
所要時間
ペア1回あたり約5分(標準)
準備
・すべてのカードを伏せておく。
あそびかた
- 全員が伏せたニーズのカードから一枚を選び、カードの字を自分は見ず、皆には見えるように額に当てる。
- スタートの合図で一斉に動きまわり、目のあった人と2人組(ペア)になり、順番を決める。
- 後の人は、先の人の額のカードのニーズの語を見て、それを満たすために自分なら何をやるかを話す。
- 先の人は、それを聞いて、自分が何のニーズのカードを持っているかを当てる。
- 当たったら、または3回外れたら、交代する。
- ふたりとも終わったら、自分のカードを場に返し、新たなカードを引いて、別のペアを作りにいく。
- (1)〜(6)を繰り返す。
* ウィン・ウィン・ミーティング *
意図
「対立は手段で起こり、ニーズは対立しない」ことを知る/ニーズを満たすことに焦点を当てると、対話で全員が満足する手段を見つけることが可能になることを体験する
使用カード
ニーズのカード
人数
4人以上(多人数、特に2の累乗数だとよりおもしろい)
所要時間
1組あたり約3分(標準)
準備
すべてのカードを伏せておく。
あそびかた
- 「ニーズをさがせ」(1)〜(5)をやる。
- ふたりで話し合い、お互いのニーズを同時に満たす方法・手段を見つける。どちらも譲歩や妥協をせずに、十分ニーズが満たされると感じるものをさがすこと。
- お互いのニーズを満たす方法が見つかったら、またはあらかじめ決めておいた時間になったら、別のペアを探して4人組になる。
- 4人で互いのニーズを見せあい、全員のニーズを同時に満たす方法・手段を話し合う。
- さらに8人組、16人組……と繰り返し、その場の全員のニーズが喜んで満たされる方法を見出せたら皆でお祝いする。