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4つの耳

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わたしたちが話を聞くときに使う「耳」には4種類ある、とNVCでは考えます。

4つの耳

クリックするとPDFファイルを開くことができます 資料提供:ZENVC.org

  1. 相手を非難したり責めたりする「悪者探し・外向きの耳」(別名:ジャッカル外向きの耳、パワーオーバーの耳など)
  2. 自分を非難したり責めたりする「悪者探し・内向きの耳」(別名:ジャッカル内向きの耳、パワーアンダーの耳など)
  3. 自分の内側を共感的に聞く内向きの耳(別名:自己共感、キリン内向きの耳など)
  4. 相手の内側を共感的に聞く外向きの耳(別名:他者共感、キリン外向きの耳など)

1と2は、懲罰的な世界観でよくある反応で、ふだんやりがちな方法とも言えます。相手と上下関係をつくり、上から下および下から上を見て、勝ち負けや善悪の判断・評価、決めつけを行っています。このとき自分は、罰を与えたり、罰を受けるに値すると考えています。

3と4は修復的な世界観の(NVCの方法をとりいれた)反応です。相手が何を言っているか・言葉の意味を探るのではなく、何を言わんとしているか・言葉の意図(ニーズ)を見ようとしています。

4つの耳のワーク

NVCの練習として、この4つの耳を活用してみましょう。自分と他者の2人いればできます。

(1)これまでに受けた「受け取りづらかったり、聞くのが難しい言葉」を思い出す

その言葉を聞くと、動揺したりカッとなったり、つい言い返したりしたくなる言葉(セリフ)です。罵詈雑言とは限りません。多くの人が何気ない(悪気のない)と思うような「今日は雨になるんじゃない?」という言葉にムッとしてしまうという人もいました。

(2)1〜4の耳で反応してみる

ペアを組んだ相手にその言葉を言ってもらい、上記1〜4で反応してみます。

例えば「バカじゃないの?」という言葉に反応するとしたら、一回目の「バカじゃないの?」は「悪者探し・外向きの耳」で聞き、「何言ってるの? そういうあなたのほうがバカじゃない?」などと言い返します。返し方は「難しいメッセージを聞いてそれに答える4つのやり方」を参考にしてください。このように1〜4までの耳で計4回、その言葉を言ってもらっては返します。

3と4の耳で聞いて返すときは、下記の〔 〕内に感情のニーズの語を入れます。感情とニーズの表を参考にしてみてください。

3「自分は〔感情〕と感じている。 それは自分が〔ニーズ〕を必要としている/が大切だからだ」

4「〔感情〕と感じておられるのですか。 それは〔ニーズ〕 を大切に/必要となさっているからですか」

大勢いたらこんなこともできます

メンバーが大勢いたら、1〜4の耳を分担することもできます。

「受け取りづらい言葉」を言われた人は、他の人が自分になりかわって1〜4の耳をやってくれるのを外から見ながら自己共感の練習ができます。

また、慣れてきたらぜひ1や2の耳をみずから担当してみることをおすすめします。自分の中にくすぶっている不満や怒り、悲しみを、安心できる(人に誤解されたり解釈されないと思える)場で口に出してみることは、どんな体験になるでしょうか。

(3)からだの反応を見てみる

一巡したら、からだがどんなふうに感じているかを意識してみましょう。悪者探しの耳で聞いて反応したときと、キリン外向きの耳で聞いて返したときとでは、どのように感じ方が違うでしょうか。あるいは同じでしょうか。心地よさはどこにありましたか。

(4)さらに対話に挑戦してみる

慣れてきたら、4の(外向きの)耳で聞いて返すことを繰り返し、相手との対話を進めてみるのもいいでしょう。例えば、

「あなたは〔悲しい〕と感じている? それはあなたが〔理解〕を大切にしているから?」

「違うよ!」

「〔さびしい〕と感じているのかな? 〔仲間〕が大切だから?」

「いや、うーん……」

「〔つらい〕のかな……〔安全な居場所〕が必要?」

……といったふうに、〔感情〕と〔ニーズ〕を聞き続けます。

どの耳も大切

ここで注意したいのは、どちらのやり方がいいか悪いかではない、という点です。

1と2のやり方は、相手をコントロールしようとしたり、相手の支配にゆだねようとする方法で、思い通りにする快感があったり、相手の言うなりになって楽だと感じられたりするという利点を感じる人もいるかもしれません。

3と4のやり方は、自分と相手を尊重しようとする方法ではあるものの、馴染みが薄くてやりにくさを感じたり、練習を必要としたりで、面倒だと感じる人もいるかもしれません。

どの「耳」を使うかは、やってみて自分のからだがどう感じるかで選んでみてください。

不快感があってもその「耳」を使い続けるとしたら、そうすることで何のニーズを満たそうとしているのかを考えてみましょう。

また、「悪者探しの耳」で聞いて言い返すとき、遠慮やためらいがあって言い方を柔らかくしたり手加減したら、どんな感じがするでしょうか。逆に「悪者探しの耳」で存分にのびのびと返せるときはどんな状態でしょうか。そのときのペアの相手はどんな態度だったでしょうか。

「悪者探しの耳」でのびのび返せると、キリン内向きの耳がよく聞こえる気がします……。

 

謝辞

この資料を提供してくれたZENVCのJesse Wiens and Catherine Caddenに感謝を表します。

I am deeply grateful to  Jesse Wiens and Catherine Cadden, ZENVC for their kindness to provide this material.

(文責・西東万里)

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