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インタビュー『ミディエーションを文化として根づかせたい!』

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ジム&ジョリのNVCミディエーション東京羽根木合宿のオーガナイザー、後藤剛さん・後藤ゆうこさんに聞きました(聞き手:栗山のぞみ)*このインタビュー記事は、2015年10月に行われた「ジム&ジョリのNVCミディエーション東京羽根木合宿」に合わせて掲載したものです。

●相手を大切にする合意形成ができると、それは癒しになる

−−1年以上かけてこのイベントを企画してきたと聞いたけれど、そもそもテーマを「ミディエーション」にしたのはどうして?

ゆうこ:剛くんと私は夫婦でNVCを学び、NVCを生き、そして共にトレーナーを目指して学んでいるのだけれど、それでも理解し合えなかったり、自分たちだけで話そうとすると痛みを伴う会話になってしまって互いに聴き合うことができないこともありました。そんなとき、お隣に住んでいるジムとジョリにミディエーションの形で聞いてもらって、安全な場で共感をもらいながらお互いを紐解いていくという体験が何度もあって、二人の関係性が素晴らしく改善されたの。

剛:相手を大切にする合意形成をしたいのだけれど、自分たちだけで行うのが難しいことは多々あるはず。オレたちは、ミディエーションを受けることで、お互いの傷みや悼みを本当の意味で聞いてもらえたし、ヒーリングの効果も素晴らしかった。
ジムとジョリは、NVCに出会うずっと前からミディエーションを自らも取り入れ実践しているんだよね。毎日のように「葛藤」や「対立」を抱えたカップルや家族が彼らの家を訪れているよ。僕たちも彼らのミディエーションを受け、また、自分たちもスタディグループに加わって勉強しているのだけれど、オレ自身はまず、NVCの理解がとても深まったと言えると思う。より、NVCを生きられるようになった、というか……。それに彼らが日本でワークショップをやるのはIIT以外では3回目。今度こそ、ジムとジョリがもっとも得意とするものを日本のみんなと学びたいと思ったんだ。

ゆうこ:そうね。ミディエーションを学ぶことを勧めるのは、もちろん私たちが経験したからというのもあるけれど、家族やカップルの問題が緩和され、各家庭で平和が生まれたら、その平和が世の中に広がっていくと信じているから。

● 家族やご近所、会社組織でもミディエーションが当たり前の社会に

剛:大きすぎる夢と笑われるかもしれないけれど、『ミディエーションを文化として根付かせたい』というビジョンがあるんだ。ご近所づきあいやPTA活動などコミュティや、もちろん会社組織や仕事上のプロジェクトチームなどで、すれ違いや誤解が生じることはよくあるよね。長期にわたるプロジェクトだと不平不満がつのって結局人々が疲れて離れていってしまったり、あるいは、「波風立てないように」と最初から自分の意見を押し殺したり。そういうのってもったいないと思う。もしも誰かが「ミディエーション」してくれるということが“文化”になっていたら、周囲を信頼して意見を言えるし、生き生きとした社会で生きられると思うんだ。

ゆうこ:まずはNVCの学びを深めたい人を誘いたいし、その他にも、すでにコーチやファミリーカウンセリングを行っている人、組織の管理職の人、コミュニティ活動のリーダーや調整役を担っている人などが参加してくれたらいいな。そうした立場の人が、NVCを基にしたミディエーションスキルを身につけたら、資源が限られていても、きっとより多くのニーズが満たせるようになると思います。

● フォーマットを学べば、自分たちで練習を継続できる

−−合宿では、具体的にはどんな学びをするの?

剛:「3チェアモデル」「フライト・シミュレーター」「フィードバック」という3つの柱を使って実践していくのだけれど、これらはNVCを学んでいく過程で、NVC学習者各自が「次のステップ」を明確化するのにとても役立つと思う。今日本のいろんなところでNVCの勉強会が行われているけれど、NVCの自主学習、グループ学習をサポートするツールとして取り入れて欲しいという願いもあるね。また、そういう集まりの場が遠くて、「NVCのワークショップに出たけど、その後全然やってない」「どうやって継続して練習したらいいのかわからない」という“NVC難民”の声も聞くけど、このフォーマットを知っていれば、スカイプなどオンラインでも練習を継続できる。

ゆうこ:今、日本のNVC学習者の間では、共感バディコールをしていたり、あるいはFB上にグループをつくって支えあったりしていますよね。そこに、例えば3人集まれば「その葛藤の問題、スカイプで『フライト・シミュレーター』してみる?」というような手段も加わると思うの。自分や仲間が抱えている問題を自分たちでワークすることで、ぐっと学びが深まると思うのです。

剛:中心となる「フライト・シミュレター」では、基本的に3人の人がいて、二人が対立している人、一人がミディエーター役になる。ミディエーターがすることは大きく3つある。❶思いやりのリスナー(Compassionate Listener)−プレゼンスをもって寄り添う−、❷翻訳家(Translater/Transformer)−ジャッカルな表現をキリン語(フィーリングとニーズ)に翻訳、❸プロセス・マネージャー(Process Manager)−トラッキングや伝え返しのリクエスト、ありがとうを伝える等でミディエーションのプロセスを続ける努力をする。
これを、「まず対立する二人を迎えて挨拶する」、「ミディエーションについてのお願いをする」、「どちらが先に話しを聞きたいかを尋ねる」……等々の“型”を使って練習するんだ。

ゆうこ:問題解決の責任は対立している当事者にあり、NVCミディエーターはミディエーションのプロセスに責任を持つということ、ジムとジョリはよく言うわ。そのプロセスを合宿ならぞんぶんに練習し、体験できると思うの。

●ジムとジョリの豊かな経験に基づいたライブコーチング

−−NVCのトレーナーとしても実績のあるジムとジョリが、もっとも得意とするミディエーション、剛さん、ゆうこさんが特に「彼らのここがスゴイ!」と思うのは、どんなところ?

剛:「フライト・シミュレーター」の練習でミディエーターの役をするとき、途中で行き詰まってしまうことが何度もあった。そんなとき、直接ジムやジョリからコーチを受けると目からウロコが落ちるような経験が何度もあったよ。どうやってプロセスを続けたらいいのか混乱してしまうこともあるけれど、そういうとき自分自身とまた対立する二人それぞれとつながり直す方法を、豊かな経験と智慧から彼らがさまざまなストラテジーを提案してくれるんだ。彼らにとっても、そうした経験をシェアできることがとても嬉しい様子だった。

ゆうこ:ミディエーションの「型」というか「フォーマット」自体は、シンプル。でも、そこにはたくさんの経験からくる叡智が備わっていると思うの。例えばジョリは、「人は、通常、ストラテジーに早く行きすぎる」と言うのね。それはつまり、「本物のつながりの質を取り戻す」ことをもっと心がけた方がよいということ。練習では「本物のつながりの質を取り戻す」ための、具体的なヒントやスキルを彼らがライブでコーチしてくれるのだけど、剛くんが言うように、まさに目からウロコの連続。この経験をぜひとも、皆さんと共有したいと思っています!

●10月11日(日)のみ参加、「当事者役」および「見学者」を募集

−−今回、通しでの合宿参加が難しい人は、「葛藤を抱えた当事者」あるいは「見学者」として1日だけ参加することができるそうですね?

剛:今回の合宿には「ミディエーター養成」という、はっきりとした目的がある。一方で、6日間の合宿には参加できないけれど、「NVCミディエーションとは何かを知りたい」「ジムとジョリの何かの講座に出たい」という声も届いているよ。それで、ジム、ジョリ、ゆうこやスタッフの皆と話し合って、11日の日曜日を、「ミディエーターを目指すのではない人も一緒に学べる日」とすることにした。

ゆうこ:11日日曜日に限り、『ミディエーションを当事者の立場で体験したい人』か、『ミディエーションの現場を見学したい人』の参加を募ります(スペシャル企画①)。つまり、「ある人との間でこんな問題、葛藤を抱えている。どうしたらいいのか相談したい」という人に来ていただいて、ミディエーター候補生のミディエーションを受けるという形です。ジョリやジムのミディエーションを直接受けるわけではないけれども、合宿参加者がジムとジョリのコーチを受けながら具体的な問題のミディエーター役となります。とくにこの場に提供するような問題を抱えていない方も、このデモンストレーションを見学したり、当事者役となることでさまざまな学びが得られると思います。ミディエーター役は、合宿参加者に限らせていただきたいので、ご了承くださいね。

剛:さらに、同じ日の夜には、ジムとジョリによる「NVCミディエーション講座」(スペシャル企画②)も開催するよ。日中のワークショップに参加できない人は、この講座のみの参加も歓迎! 詳しくは以下を見て申し込んで下さい。

ゆうこ:NVCをより深く学び、生活の中で実践するためにも、皆で「ミディエーション」を学んで、日々練習できる環境をつくりたいと願っています。

剛:「NVCミディエーションを文化に!」 大げさでなく、心からそう思っています。ぜひ、参加してください!

【合宿の申し込み&詳細はこちら!】

スペシャル企画①スペシャル企画②の詳細はこちら!】

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