雑誌「Ministry」2015年冬号に掲載された記事を、編集を担当した栗山のぞみ(NVCジャパン・ネットワーク=NVCJNet)が出版社から許可を得て、ご紹介できるはこびとなりました。
特集「これからの『セイジ』の話をしよう」で小笠原春野(NVCJNet)が「恐れを希望に! 対話を始めるヒント」の記事を執筆しました。冒頭を転載するとともに全記事の画像をシェアします(画像をクリックすると拡大します)。
恐れを希望に! 対話を始めるヒント
話し合いは平和の手段であるはずなのに、なぜかいつも緊張と不信と倦怠が支配して、分断と絶望が深まるばかり……。そんな息苦しい場面を、楽しい対話に変えるのに役立つヒントをご紹介します。
恐れや心配の中身を知る
自分にとって大切なことを伝えようとするとき、恐れを感じて話し出すのを躊躇することがあります。特に相手が一人ではなくグループだったり、自分とは異なる考えを持っていることが予想されたり、過去に苦い経験をした話題に触れる場合にはなおさらです。
その恐れや心配の中身をちょっと想像してみましょう。1.配慮「こんなことを言うとあの人は怒ってしまう/傷ついてしまうのではないか」、2.評価「こんな話をして、自分は皆からどう思われるだろうか」、3.参加・対等性「この話題になると、○○さんの長い話が始まって他の人は何も言えなくなる」、4.興味・意味・時間の尊重「皆長い会議にうんざりしているから、とにかく短くしよう」などでしょうか。もっとほかにもあるかもしれません。
恐れや不安が大きいと、つい、最悪のシナリオを避ける防衛策をあれこれと考えてしまいます。あらゆる質問に答えられるように沢山の資料を用意したり、てきぱきと議事進行できる人を議長に選んだり。そして、だれも怒鳴ったり泣いたりせず、いくつかの意見や質問も出て、参加者が礼儀正しい態度を保っていられる時間内に終われば、ほっと胸をなでおろす。そうやって難しい局面を乗り切った経験があるかもしれません。これまでそのやり方で頑張って来た自分にエールを送ると同時に、こんな質問をしてみてはどうでしょう。
「自分が心から喜んで準備し、その場にいるのが楽しくて仕方がないような話し合いとは、一体どんなものだろう?」
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小笠原春野(おがさわら はるの)
アジア、中米、東ヨーロッパ等で13年間の海外生活を経験し、多様性や平和の大切さを痛感。2002年の帰国以降2014年3月まで都立高校教員。自らが“平和を実現する人”になり、かつ、平和をつくる人を育成するために『NVC(非暴力コミュニケーション)』をはじめ、幼児・児童向け暴力予防プログラム『セカンドステップ』、『創造的対立解決プログラム(RCCP)』等、平和構築や対話法、ファシリテーション等を国内外で精力的に学び、在職中は授業でも実践。現在はフリーランスの立場でこれらの学びの場を提供している。日の丸君が代強制反対予防訴訟の第4次原告。ひめゆり平和祈念財団のアニメ「ひめゆり」英語字幕協力。共著に『カミングアウト・レターズ』(RYOJI・砂川秀樹編集、太郎次郎社エディタス刊)。ICU教会・教会員。